弟が店長、親父がカフェマスターを務めるカフェ&バーである「ブックスペース栄和堂」が開店して2ヶ月が経った。運営するのは僕が代表、そして彼ら2人も所属する株式会社ワディットである。
僕は現状の仕事がある、そして「物理的に遠い」という理由から、顧問やアドバイザーというような立場でこの栄和堂のプロジェクトに参加している。今日は「定休日」なのでその時間を利用して新メニューの試食会やら弟の「淳也」による2ヶ月のデータ分析結果などを共有した。
栄和堂は去年2015年の11月16日に、ワディット及び僕らの実家の近くにある鎌倉「湘南深沢」にオープンした。そもそもITやWebを専門分野とするワディットがカフェもしくはバーを開店するには「入り組んだ」理由=ワケがある。そのワケがあるからこそ僕らの思い入れは強く、続けていきたい根源となっている。
実は栄和堂は元々「本屋」だった。店主は親父の弟さん、つまり僕の叔父である。いわゆる「街の本屋」で僕も幼少期の頃、栄和堂に行って、文具をあさったり、本棚の匂いを嗅いだり、叔父さんからタミヤの模型をもらったりして喜んだのを、すごく懐かしく覚えている。
そんな栄和堂を営む叔父が一昨年の3月、急死した。あまりにも突然だったので正直びっくりした。人が世界からいなくなるという体験は不思議だ。
さて悲しい話は置いといて、問題は栄和堂だ。彼が20代の頃から40年以上営業しつづけた書店「栄和堂」をどうするか?結論を簡単に言えば、一旦閉店させた。親戚の中でも比較的動けた親父が踏ん張り、閉店セールをやったり業者を呼んだりして、在庫を一掃した。土地は亡くなった叔父の奥さんである叔母さんのものになったが、買い手がつかない。
そこで「どうせなら」ワディットが借りて何かやろうじゃないか?という話になったのだ。
当初父親と二人だったワディット社員の僕らは色々考えたが「自らのアイデアに責任が持てない」という状況。そこへ、脱サラした淳也がワディットに参画。淳也は幼少時から持ち合わせている器用さを発揮し(そう、俺は永遠にマリオカートで淳也に勝てない)彼が店長になって栄和堂の場所を有効活用しようと動き出す。3人で話しながら、我々の目指すところは
本屋の再発明
であると定義した。ではどのように再発明するか?を今現在試しているところで、今日の会議で淳也はそれを
本棚を介して人がつながれる場所を提供すること
だと言う。ただ、このような目標を立てつつ、カフェやバーで収益を上げるというモデルは現時点で成功しているとは判断しにくい。正直、工事日数と、なによりもお金がかかっている。
開店の直後、淳也と親父は当初の売上目標との乖離にウズウズしている感はあった。実際、経営的視点で見ると、結構厳しい。とはいえ、客として訪問してみるとヒイキはあるかもしれないが満足度は高い。そんな中、淳也は詳細にデータを取っていることが今日の打合せで分かった。顧客データを独自の方法で細かく取っている。さらにはとある日にちを決めて、栄和堂の前をどれだけの人が通りかかったか?をカウントして期待しうるトラフィックを測っている。
実営業日で数えるとたった「40日」分のデータなので正確性にまだかけるが続けると指標が立ちやすいだろう。例えば、同じくらい行き来がある、場所の近いカフェで「うまくやってる」ところを見つければ参考になる。
また、彼は、打ち出した「ブックスペース」というネーミングと実際のニーズとの距離感にも違和感を感じている。これは僕自身も事前に気づきにくかったが、Webなどネットの媒体では尖ったコンセプトが通じるが、リアル店舗の場合、より具体的に安直な表現を使った方が、お客さん=ユーザーに「ここで何が出来るのか?」が分かりやすくなって良い。妥協案かもしれないが、それに気づいた瞬間に、ウィンドウディスプレイに「カフェ&バー」の表記をつけたようだ。
やりたいこと、やらなくてはいけないことがたくさんある
と淳也は言っている。決して焦る必要は無いが、やることがたくさんあることはいいことだと思うので、親父共々頑張ってもらいたい。
強引にまとめると...
栄和堂というカフェ&バーを僕の弟と親父が「鎌倉の外れで」やっているのでよかったら来てね♪
ということでした。よろしく!