「頭がいい人、悪い人の話し方」でベストセラーを著し、さらに俺の高校時代、予備校の小論文の先生でもあったという樋口裕一さんの自己啓発書。 彼の著作「差がつく読書」を読了し、小論文の添削・指導以外のことでも好感を得ることができたので、書店で目に付いたとたんに手に入れて読んでみた。
斉藤孝氏は本を読むときに赤・青・緑の三色で線を引いて読むことを推奨しているが(参考 : ゆーすけべー日記: 「三色ボールペン情報活用術」齋藤孝)、本書は緑の線や付箋が多くなった。 緑というのは本筋とは関係なくとも、ごく「個人的に」興味を持ったという意味である。 会ったこともある人だからこそ当然だ。 本書のP22から引用すると、
私は今でこそ、講演会やテレビ出演の話をいただくが、本来は人前でしゃべるのが苦手だ。 人と話すと気後れする。 ボソボソと話すし、社交的ではなく、芸術を愛し、ひとりでその世界に浸っていたい内向的な人間だ。
これが、実のところそのようなお方で、予備校の時生で授業を受けさせてもらった印象そのものを表している。 そんな樋口裕一先生が世の中を渡り歩くために苦労を重ねた結果、いい意味で腹黒く、人付き合いでは戦略的に「できる人」を目指していたという点が知れたのが面白かった。 まあ、見た目は上で引用した通りなんだけど、当時からなんとなく、「あーこの人、ああ見えて、うまくやってるんだな」という雰囲気は多少なりとも受けていたんだけど。
全体として、樋口氏独自のテクニック集という感は否めないが、 こういうやり口もあるということで納得はいく。 最後に読書に関する彼の考えがあって、印象深かったので、これを引用して締めるとする。
私にとって本を読むということは、自分が立てたある仮説を裏付けていくための作業なのだ。
(中略)
私はいつも「この作者が私の仮説を証明してくれていないか」という観点を中心に読む。 そういう読み方でいいのだ。
なるほど、ならば本書は当時から受けていた「あーこの人、ああ見えて、うまくやってるんだな」という仮説を証明したことになるな。
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- 思ったより内容が薄い。
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- なんだこりゃ?
- 大学院レベルの教養が必要。
- 自分の話し方のチェックに