国家の品格 藤原正彦(著)
親父に「ウェブ進化論」を貸したら、この本を読めと言って渡された。いわずと知れたベストセラーで書店に並んでいるのをはたとみながら、 敬遠気味だったけど、親父曰く
マストだよ
ということで読む。親父の丁寧な紹介に寸分たがわず面白い。
この本で特出すべき点は、うたい文句「日本の情緒と形を取り戻せ」とはいいつつも、 著者が「数学者」の藤原正彦さんであり、対比して描かれる「論理」の重要性も否定しきっていないところだと感じた (藤原さんのご両親が文学者だからなせる業といえるか)。豊かな情緒を持ちつつ論理的に考えたり行動できたら強いよな。 それがよく現れているのが、P50の「論理には出発点が必要」という部分。以下一部引用させていただく。
・・・出発点がAで結論がZ。そして「Aならば」という場合の「ならば」が論理です。 (中略) …ところが出発点Aを考えてみると、AからはBに向かって論理という矢印がでていますが、 Aに向かってくる矢印は一つもありません。出発点だから当たり前です。 すなわち、このAは、論理的帰結ではなくて常に仮設なのです。 そして、この仮説を選ぶのは論理ではなくて、主にそれを選ぶ人の情緒なのです。
自分にとっては、日本の持つ「情緒と形」や文化に改めて自信というか誇りを持てるぞ、と感じると共に、 俺自身にとってのそれは何か?先人からより学び、自らもはぐくんでいこう、と喚起される本。
さらに蛇足ではあるが、俺がやりたいことがある。 それは本著「国家の品格」でまさに今の言葉として言語化された「情緒と形」のそれと、 「ウェブ進化論」で語られる進化との組み合わせへのチャレンジ、という一見大それたことなのだが、詳細はおいおい考えていこう。